三代・永野法律事務所

三代・永野法律事務所 > 記事コンテンツ > クレーム対応の判断基準とクレームに対して企業がとるべき対応とは?

クレーム対応の判断基準とクレームに対して企業がとるべき対応とは?

記事コンテンツ

顧客からの苦情や要望は、本来であればサービスの改善や品質向上に繋がる貴重な情報源です。
しかし、近年は顧客という立場を背景にした過剰かつ不当な要求が社会問題となっています。
今回は、クレームに応じるかどうかの判断基準と、クレームへの組織的対応について解説します。

 

正当なクレームと悪質なクレームの境界線

何をもって応じるべき正当なクレームとし、何をもって拒絶すべき不当な要求とするのか、その定義を明確にすることが重要です。
クレームの正当性を判断する基準には、以下のようなものがあります。

 

正当なクレームと判断される要件

正当なクレームとは、企業側のミスや不備によって顧客に不利益が生じた際、その原状回復や改善を求める行為を指します。
この場合、顧客の要求には法的な根拠や契約上の妥当性が備わっており、企業は誠意を持って謝罪し、適切な補償や修正を行う義務があります。

 

悪質なクレームと判断される要件

クレームが悪質なものであると判断されるのは、以下のいずれか、または両方の要素が含まれたときです。

  • 要求内容に妥当性がない
  • 要求手段が社会通念上不相当である

妥当性のない要求とは、法的な義務がないことや、契約の範囲を著しく超えることを求める行為です。
社会通念上不相当な要求手段とは、暴力、威圧、侮辱、あるいは執拗な繰り返しを伴う伝え方を指します。

 

クレームに応じるかどうかを判断する2つの評価軸

クレームに対してどのような態度をとるべきかを判断する際は、以下の2つの点で評価を行う手順が有効です。

 

クレームの内容の妥当性に関するチェック

クレームに応じるか判断するために、顧客の要求が理にかなっているか、すなわち内容の妥当性を確認します。
具体的には、以下の点に注目しましょう。

  • 事実関係の有無
  • 契約上の義務
  • 損害の範囲

内容に妥当性がないと判断された場合、企業は「お受けできません」と明確に回答する姿勢を持つべきです。

 

クレームの手段の相当性に関するチェック

手段の相当性とは、顧客の言動が、社会的な常識の範囲内に収まっているかどうかを指します。
具体的には、顧客の言動に次のようなことが伴っていないかを確認しましょう。

  • 身体的・精神的な攻撃
  • 拘束時間と頻度
  • 場所と態様

手段が相当でないと判断された場合、たとえ要求内容が正当であったとしても、企業は対応を打ち切る、あるいは警察や弁護士などの第三者を介在させる必要があります。

 

クレームに適切に対応するための組織体制

クレームに一貫した対応を行うためには、組織体制を整えておくことが重要です。
あらかじめ、以下のような対策をとることを検討してください。

 

対応マニュアルの整備と基準の共有

クレーム発生時に現場で混乱が生じないよう、どのような言動があれば対応を打ち切るのか、具体的な基準を明記したマニュアルを作成すると有効です。
このマニュアルが社内全体で共有されていることが、クレームに一貫した対応を行うために重要となります。

 

記録の徹底

すべてのやり取りを記録として残すことは、不当な要求から組織を守るための効果的な手段です。
記録をとることを事前に告知することは、悪質な顧客に対する抑止力となります。
また、正確な記録があれば、後に裁判や警察への通報が必要になった際、客観的な証拠として利用できます。

 

複数人による対応の原則

クレームが悪質である兆候が見られる場合には、2名以上で対応する体制を設けることが推奨されます。
また、一定時間を超えた場合には担当者を交代させることも、従業員の疲弊を防ぐために効果的です。

 

クレーム対応を弁護士に依頼するメリット

クレーム対応を弁護士に依頼するメリットは、不当な要求に対して法律に基づいた対応ができることです。
現場の担当者では判断に迷うような要求であっても、弁護士であれば法的な観点から根拠の有無を精査し、不当であるかどうかを正確に判断できることが期待されます。
従業員がクレーム対応以外の業務に集中することができることも、クレーム対応を弁護士に依頼するメリットとして考えられます。
さらに、弁護士名義で内容証明郵便を送付するなどの手段は、悪質なクレームを受けた際の強い対抗手段となるでしょう。

 

まとめ

今回は、クレームに応じるかどうかの判断基準と、企業が検討すべきクレームへの対策について解説しました。
現場の混乱を防ぎ、組織として一貫した対応をとるためには、判断基準を明確に示し、それを社内で周知徹底することが重要です。
自社の判断基準に不安を感じた場合には、弁護士に相談してリーガルチェックを受けることを検討してみてください。