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雇用契約書と労働条件通知書の違いとは?兼用は可能?記載すべき事項も解説

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新しく従業員を採用する際に、雇用主が従業員に対して作成、また交付する書類には、「雇用契約書」と「労働条件通知書」の2種類があります。

当記事では、雇用契約書と労働条件通知書の違い、また、兼用は可能かどうか、記載すべき事項もあわせて解説します。

 

雇用契約書とは?

雇用契約書とは、雇用主と労働者が労働条件について互いに合意したことを証明する書類です。

給与、勤務時間、就業場所、業務内容、昇給や退職などの労働条件に関する事項を決定します。

雇い主側と労働者側、双方の署名押印が必要です。

 

労働条件通知書は?

労働条件通知書とは、雇用主から労働者に通知する義務のある事項が記載されている書類です。

会社は、労働者を雇い入れた際に労働条件を明示し交付する義務があります。

 

雇用契約書と労働条件通知書の3つの違い

混同されやすい雇用契約書と労働条件通知書の違いは、以下の3つがあります。

 

  • 法律上の作成義務の有無
  • 記載すべき事項の有無
  • 双方の合意による署名押印が必要かどうか

 

それぞれ詳しく確認していきましょう。

 

法律上の作成義務の有無

雇用契約書には、法律上の作成義務はありません。

一方で、労働条件通知書は、労働基準法第15条第1項及び同法施行規則第5条第4項の規定によって、雇用主側に作成義務および労働者への書面交付の義務が定められています。

 

記載すべき事項の有無

雇用契約書には、記載事項の定めがありません。

一方、労働条件通知書には、労働基準法の規則により記載が必要な事項が厳しく定められています。

 

双方の合意による署名押印が必要かどうか

雇用契約書は、当事者双方の署名と押印をして契約を結びます。

一方、労働条件通知書は、雇用主側が作成し、交付する書類であるため、労働者側が署名と押印をする必要はありません。

 

労働条件明示義務

労働条件の明示義務とは、労働契約を結ぶ際に、雇用主が労働者に対して労働時間や賃金などの労働条件を明示する義務のことをいいます。

口頭ではなく、原則として書面の交付により明示しなければなりません。

労働条件明示義務を守らない場合、30万円以下の罰金が科せられます。

なお、例外として労働者側が希望する場合は、メールやFAXで明示を行えます。

 

雇用契約書・労働条件通知書を発行するタイミング

通常、雇用契約書は、労働者を雇い入れるよりも前のタイミングで契約を結びます。

一方で、労働条件通知書は労働契約(雇用契約)を結ぶ際に交付しなければなりません。

 

雇用契約書と労働条件通知書の兼用は可能

「労働条件通知書 兼 雇用契約書」とすることも可能です。

ただしその場合、労働条件通知書に記載が求められている事項をすべて、雇用契約書にも記載する必要があります。

 

労働条件通知書には以下のように、2種類の記載事項があります。

 

  • 絶対的記載事項
  • 相対的記載事項

 

それぞれ詳しく確認していきましょう。

 

絶対的記載事項

絶対的記載事項とは、必ず明示・記載しなければならない事項です。

雇用契約期間や就業の場所をはじめ、他に記載する必要がある事項は以下の通りです。

なお、昇給に関する事項を明示する必要はありませんが、一般的に下記の項目と一緒に記載されています。

 

  • 始終業の時刻・所定労働時間を超える労働の有無
  • 休憩時間、休日・休暇など
  • 賃金の計算方法や支払の時期
  • 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

 

また、雇用する労働者がパートタイマーや契約社員等である場合、上記に加えて記載が必要な事項があります。

昇給・賞与支給・退職金の有無や、短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口などの記載も忘れずに行います。

 

相対的記載事項

相対的記載事項とは、該当する定めや制度などがある場合に記載が必要な項目です。

休職や退職手当をはじめ、具体的な内容は以下にもあります。

なお、昇給に関する事項は定めの有無に関係なく明示が必要です。

 

  • 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
  • 安全及び衛生に関する事項
  • 職業訓練に関する事項
  • 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
  • 表彰及び制裁に関する事項

 

「労働条件通知書 兼 雇用契約書」を作成する際の注意点

先ほど解説した絶対的記載事項と相対的明示事項の記載以外にも、「労働条件通知書 兼 雇用契約書」を作成する際の注意点があります。

労働条件通知書兼雇用契約書にある、従業員の氏名、住所の記入欄には本人に直筆で書いてもらうのが望ましいです。

企業側が記入したことにより、後にトラブルに発展する可能性があるためです。

 

まとめ

当記事では、雇用契約書と労働条件通知書の違い、また、兼用は可能かどうかをわかりやすく解説しました。

労働条件通知書兼雇用契約書に記載する労働条件明示義務の数は大変多いです。

漏れがなく正しく対応ができているかどうか不安がある場合は、弁護士に相談することも検討してみてください。